近年、完全ワイヤレスイヤホンの普及に伴い、「IP規格」や「IPX」という言葉をよく目にするようになりました。
これらはイヤホンの防塵・防水性能を示す規格なのですが、いまいちよくわからないという方も多いのではないでしょうか?
この記事では、イヤホン選びで重要となるIP規格について「IPとは何?」「IPXとの違いは?」「IPX5はどれくらいの防水性能なの?」などの疑問に対して分かりやすく解説していきます。
あなたの利用シーンに合ったイヤホン探しの参考になれば幸いです。
イヤホンの防水規格IPとは?
IP規格(International Protection)は、2003年に国際電気標準会議で定められた電気機器の防塵・防水性能を表す国際規格です。
最近のイヤホンやスマートフォンなどには防塵防水機能が備えられており、そのレベルをIPやIPXが示しています。
「IP」の後に続く数字やアルファベットで、その機器がどの程度の防水・防塵性能を持っているかを示します。
1桁目が防塵性能(0〜6等級)、2桁目が防水性能(0〜8等級)を意味します。
IP67の場合は、防塵性能:6等級、防水性能:7となります。
- 防水:外から水が浸入しないように加工されていることを意味する(IPX1~2くらい)
- 防滴:水滴が入るのを防ぐことを意味する(IPX5~8くらい)
防水レベルの度合いの違いで表現が異なるという認識で大きく間違うことはないでしょう。
イヤホンの防水耐性IPとIPXの違いとは?
IPとIPXの違いは防塵防水両方の耐性が測定されているか、一方のみが測定されているかの違いになります。
IP:防塵・防水性能の両方が測定済み
IPX:防水性能のみが測定済み(防塵性能は未測定)
つまり、IPX6の場合は「防水性能は6だけど、防塵性能は未測定」という意味になります。
IP56とIPX6は同じ防水レベルではあるものの、IP56は防塵に関しても5等級の耐性が測定されているということになります。
また、IP5Xとなる場合は、防水は未測定で防塵が5等級となりますが、多くのイヤホンではIPX表記が使用されています。これは、イヤホンにとって防水性能がより重要視されているためです。
イヤホンの耐水性能とそのレベル
ではIPX5やIPX7といった防水性能は、どれくらいの水に耐えることができるのでしょうか?
以下に下記規格とそのレベルや試験方法をまとめてみましたので参考にしてください。
耐水性能 | レベル | 試験方法 |
---|---|---|
IPX4 | 生活防水(汗や雨しぶきに対応) | 全方向から10リットル/分の水を5分間噴霧 |
IPX5 | 噴流への耐性あり | 距離3mから12.5リットル/分の水を全方向から3分間噴射 |
IPX6 | 強い噴流への耐性あり | 距離3mから100リットル/分の水を全方向から3分間噴射 |
IPX7 | 一時的な水没に対応 | 水深1mに30分間沈める |
IPX8 | 継続的な水没に対応 | メーカーが指定した条件(水深2m以上、60分以上など) |
次に各規格がどのような防水レベルなのかをまとめてみました。
耐水性能 | おすすめシーン |
---|---|
IPX4 | ランニングや通勤時の使用 |
IPX5 | 軽くシャワーを浴びながらの使用 |
IPX6 | シャワーを浴びながらの使用 |
IPX7 | プールでの使用や水洗い(短時間) |
IPX8 | プールでの使用や水洗い |
このようにIPXのレベルによって使用できるシーンがことなりますので、使用するであろうシーンからどのくらいの耐水性が必要なのかを考えてイヤホン選びをしていく必要があります。
※IPX6だからといって、故障に対して保証されるものではありませんのでご注意ください。
人気イヤホンのIP規格比較表
ここではIP規格を軸に人気のイヤホンを比較していきたいと思います。
モデル名 | IP規格 | 特徴 |
---|---|---|
AirPods Pro(第2世代) | IPX4 | 汗や雨に強い |
SONY WF-1000XM5 | IPX4 | 防滴仕様 |
Edifier R1 | IP56 | 防塵・防水性能が高い |
Shokz OpenSwim Pro | IP68 | 水没にも対応 |
※各製品ページから引用していますが、必ず購入前に公式サイトにてご確認いただくようお願いします。
イヤホンの防水性能に関するよくある質問
- IPXとIP68など、数字がついている規格はどちらが上位ですか?
-
IP68などの数字がある方が上位です。IPXは防水性能のみの表記ですが、IP68は防塵(6)と防水(8)の両方の性能が保証されています。
- IPX4のイヤホンをシャワー中に使用できますか?
-
推奨されません。シャワーの水圧は想定以上に強く、IPX4は耐えられない可能性があります。シャワー使用の場合は、最低でもIPX5以上を選択してください。(とはいえ、保証はされませんので、極力水に当てない方がよいです)
- IP規格の数字は大きければ大きいほど良いのですか?
-
必ずしもそうとは限りません。用途に合った適切な防水・防塵性能を選ぶことが重要です。必要以上の性能は価格上昇の要因になります。
- IPX7とIPX8の違いは何ですか?
-
IPX7は一時的な水没(1m/30分)に対応していますが、IPX8はより深い水深でより長時間の水没に耐えられます。具体的な条件はメーカーによって異なります。
- 汗をかくことが多いのですが、どの程度のIP規格が必要ですか?
-
通常の運動での発汗であればIPX4で十分です。ただし、激しいスポーツやジムでの使用を想定する場合は、IPX5以上を推奨します。
- IP規格は永久的に保証されるものですか?
-
いいえ、経年劣化や使用状況によって防水・防塵性能は低下する可能性があります。特に、落下や衝撃を受けた後は、IP規格で示された性能を維持できない場合があります。
- イヤホンを水洗いしても大丈夫ですか?
-
IPX7/IPX8の場合でも、水洗いは推奨されません。必要な場合は、軽く湿らせた布で拭くことをお勧めします。充電ポートや音声出力部分は特に注意が必要です。
- 防塵性能は必要ないのでしょうか?
-
環境によっては重要です。特に、建設現場や砂浜での使用、または花粉の多い季節は、防塵性能(IP5X/IP6X)があると安心です。
まとめ|使用シーンに必要な防水イヤホンを
イヤホンのIP規格は、使用環境や目的に応じて選択することが重要です。
一般的な使用であればIPX4で十分ですが、より過酷な環境で使用する場合は、それに応じたIP規格を選択しましょう。
- 日常使用:IPX4
- アウトドア・スポーツ:IPX5以上
- 水辺での使用:IPX7/IPX8
- 防塵性能も重視:IP5X/IP6X
IP規格を理解することで、自分のライフスタイルに合ったイヤホン選びができます。この記事を参考に、最適なイヤホンを見つけてください。